38日目 : 道を訪ねて、その先へ。
駅までは歩いて30分。
7時過ぎの電車に乗りたかったので、5時過ぎにアラームをかけていたのですが、二度寝をして起きたのは6時前でした。
一本遅い電車に乗ることにします。
朝食は昨日コンビニで買っておいたサバの味噌煮。
湯煎するのが面倒だったので、炊いたお米にそのまま混ぜ込みました。
なかなかいけます。
撤収しようとしていると、お借りしている土地を所有している会社の従業員の方がやってこられました。
勝手にプレハブ小屋を借りたお詫びとお礼を。
「うちは好きに使ってもらったらいいんで。そんなことより出迎えもできず申し訳ない。」と逆に謝られてしまいました。
その上今日の仕事現場が新地町らしく、一緒に乗せて行ってくださることになりました。
重ね重ねありがとうございます。
道中お話ししていると、言葉のイントネーションに通ずるものを感じました。
出身を伺うと、三重県とのこと。
関西弁に親近感を覚えました。
新地駅までは車で30分ほどです。
駅前で降ろしていただき、最終日がスタートです。
一応今日でゴールしてしまう予定をしています。
駅近くのコンビニでいつもの如く昼食のパンを買っておきます。
岩手あたりでどこで補給するか悩んでいたのが懐かしいです。
しばらく歩いて、山の方へ。
奥に見えるのがこれから登る鹿狼山です。
その前に右近清水に立ち寄ります。
平成の名水百選にも選ばれた湧き水が湧いています。
飲んでみましたが、口当たりが柔らかいような…僕にはよく分かりません。
足を乾かして、鹿狼山の登山口を目指します。
ロケ日を挟んで、足もかなり良くなったと思っていたのですが、荷物を背負って歩いていると、豆と水ぶくれは増え続けます。まぁこの程度はもうなんてことありません。
人に晒せないぐらい足は汚いですが。
10時前に登山口に到着。
カロリーメイトでカロリー補給をして、いざ鹿狼山へ。
途中展望所のようなところで休憩を取ります。
登りが続いた後に開けた景色が待っていると、疲れも吹っ飛ぶぐらい気持ち良いです。
山頂のような写真ですが、まだ登り切ってはいません。
とどめの一撃のような登りが待っています。
ロープが張られているのは、あまりに急だからでしょうか。
登山口から1時間ほどで山頂到着です。
写真撮影をしていると、山頂の広場に大量の園児たちが登ってきました。
やかましい…とか思ってはいませんよ。
この辺りで昼食休憩をと思っていましたが、こんな中でゆっくりできそうにないので、下ってしまうことにしました。
誰に合わせて作ったんだよこれ…と思いながら、石の階段を下ります。
膝にくるやつです。
麓の駐車場まで30〜40分で着きました。
下山してくる人がちらほらいるぐらいで、頂上とは違って静かです。
30分ほど昼食休憩を取って、相馬市へ向かって歩いていきます。
のどかです。
下山してから2時間ほどで、相馬市の観光案内所である千客万来館に着きました。
これと言って聞くことも思いつかなかったので、中を少し見て立ち去りました。
あとはゴールへ向かうだけです。
途中に相馬駅近くを通ります。
往復しないといけないと思うとうんざりしないこともないですが…
1時間弱でゴール地の松川浦環境公園に着きました。
1人でしみじみと「やっと着いた…」となることを期待していたのですが、大学生ぐらいの人たちが公園でサッカーをしていて、そんな気分に浸る雰囲気ではありませんでした。
とりあえずバックパックを立て掛けてゴールの記念撮影です。
少しするとみんな帰って行ったので、ドローンを飛ばして自撮りです。
1人になると、少しずつ実感が湧いてきました。
もう歩かなくて良いと思うとホッとする一方、なんだか少し寂しくもあります。
と、思っていると「ドローン飛ばしているの?」と散歩に来た地元のおばさんに話しかけられました。
誰も僕を浸らせてはくれないようです。
初めてドローンを見たとのことだったので、飛ばしてみると感心されました。
お話をしていると、次ここから相馬駅に向かうバスが来るのは18時前だと教えてくれました。
今は16時半ごろです。
そんなに待っていられないので、また小一時間かけて歩いて戻ることにしました。
残っていた携行食を全部食べて、トイレに水を捨てて、荷物が少し軽くなりました。
知り合いとお話をしていたおばさんにお礼を言って、相馬駅に向かいます。
終わったのに歩いているので、終わった気がしません。
電車に揺られて仙台駅へ。
明日の夜の飛行機のチケットを取っているので、今日は仙台市内のカプセルホテルで一泊です。
Googleマップの案内に従って歩いて行くと、キャッチのお兄さんがいる界隈に突入していました。都会は賑やかです。
大阪に帰ってやっていける自信がなくなりました。
さて、チェックインです。
明日に向けて身支度を整えなければということで、2〜3日ぶりのシャワーを浴びて、近くのコインランドリーで洗濯を。
夕食は牛丼チェーン店。
仙台に来たからと言って牛タンを食べるなんて浮かれたことはしません。
最後まで節約旅を貫きますよ。と言いつつ瓶ビールを一緒に注文。
祝杯です。浮かれています。
そういえば牛丼は昔から、つゆだくに生卵をプラスする派です。
高校の部活の先輩に「牛丼を飲むように食べる」と言われたことがありますが、言い得て妙。
仙台の街なかを歩いて、カプセルホテルに帰ります。
38日間の非現実から戻るためのリハビリをしているような気分でした。
こんな感じで僕のトレイルは幕を閉じました。
本日の歩行距離 : 21km
最後に38日間を振り返った感想を書いておこうと思います。
大学に入ってからコンビニでずっとアルバイトをしているのですが、コンビニっていろんな方がいらっしゃるわけです。
中には横柄な方もいらっしゃったり、半端じゃない理不尽に遭遇することもあるわけで、バイト中はいつも目が死んでるなーと自分でも思っていました。
割とバイトに励んだ学生生活。
好きでもないことに時間をかけてるわけですから、目も死んでいくというものです。
仲の良い後輩から「大学入って目が死にましたよね」と言われたりもしました。
そのうえ最近は、前はイライラしなかったようなことでイライラしたりすることも増えてきまして、心の荒みっぷりを自覚していました。
ブログを読んでくださった方はご承知かと思いますが、歩く中でいろんな親切に出会いました。
なんでしょうね。
心の乾いたところに水をかけていただいたような、そんな出会いがいっぱいあったトレイルでした。
僕の祖父母の家が和歌山県にありまして、歩いていける距離に熊野古道と熊野三山の一つ「熊野本宮大社」があります。山の中です。
これも歩くこととのご縁な気がしますが、それはさておき。
僕は大阪育ちで、年に1〜2回、こうしたいわゆる田舎に行ったりしていました。
泳げなかったので海は嫌いでしたが、山でカブトムシを探したりするのは好きだった記憶があります。
釣りもまたしたいなぁと思っているので、捕ることが好きなようです。
中学だったか高校だったか忘れましたが、
ある時ふと「都会って何でもあるけど何かない。田舎って何にもないけど何かある。」と思ったことがあります。
カラオケやボーリング、パチンコ、ゲーム等々の都会的な遊びではなく、自然に触れることで心がイキイキする感覚。
それに加えて、先に書いたような今回のトレイルで感じた、人とのふれあいの中でしか感じることができない暖かさ。
物質的な豊かさや暮らしの便利さを求める中で、忘れてしまっているものがそこにはまだ確実に残っている気がしています。
「まだ東京で消耗してるの?」
ある著名なブロガーの方がおっしゃってた言葉だった気がします。
春からの社会人生活、満員電車に揺られる暮らしの中で、また心がすり減った気がしたら、三陸鉄道に乗ってトレイルコースを目指してみようと思います。
ウェブ関係の仕事をしますので、勉強のためにブログをいじいじしたりするかもしれません。
旅の記事ではないかもしれませんが、その時はまたお目にかかりましょう。
37日目 : ラストスパート
皆さん、明けましておめでとうございます。
大変ご無沙汰しております。
1日1投稿でゴールまでは更新するとか言っておきながら、放ったらかしておいたことをまずはお詫び申し上げます。
下書きには記事を保存しておいたので、38日目(ゴールした日)の良い締めを思い付いたら更新するかーと思っていたのですが、画面にちゃんと向き合わないと出てくるものも出てくるはずもなく…
締めは思い付いていませんが、意を決して更新します。
ここから続きです。
夜中に目を覚まして夕食を食べるか迷いましたが、めんどくささが勝ってしまい、そのまま朝まで寝ていました。
いつもの通り6時ごろに起きて朝食を作ります。
少し多めにご飯を炊いて、昨晩食べるつもりだったレトルトカレーをいただきます。
食べ終わったものの、少し物足りない。
撤収して、昼食を買いにコンビニに入った時に、一緒にパンを買って食べました。
これでようやく落ち着きました。
ちなみに昼食もいつもの通りパンです。
今日のルートはというと、いくつか峠を越えて四方山へ。
少し下って、今度は深山へ。
後は街中を抜けていきます。
前半の軽登山を終えればなんてことないはずです。
亘理中学校の裏から登山口へ入っていきます。
途中途中に名前の付いた峠や山はあるものの、それほどアップダウンがあるわけでもなく、楽しく歩けた気がします。
なにより、看板がチェックポイント的な役割をしてくれているので、進んでいる実感があるのが良いです。
登山口に入ったのが9時ごろで、四方山頂に着いたのが11時前でした。
展望台からはその名の通り、四方を望むことができます。
海の方に目を向けると、建物がまばらな場所と津波の浸水箇所とがほぼ一致しているように見えました。
これが元に戻るのはいつになるのでしょうか。
反対に山の方を見ると、宮城県と山形県の県境に位置する蔵王連峰がそびえ立っています。
トレッキングや登山にはまりそうな気もしているので、いつかこんな山も登ってみたいと思ったり思わなかったり。
少しの休憩を…と思っていたのですが、記録によるとなぜか四方山の山頂で40分過ごしていました。
こういうので行動時間が減るんですよ。良くない良くない。
舗装された道を下って、今度は深山の登山口を目指します。
この深山がなかなか辛かったです。
いつぞやの鍬台峠と同じく、峠2本目となるとバテてくるんですよね。
それに加えてさっきの四方山の登山道のように、途中途中のチェックポイント的看板がないので、進んでいる感じがしないのです。
登山口に入ってから1時間程度で山頂には着いたのですが、えらく長く歩いた気分です。
深山の山頂には鐘が設置されています。
誰もいないと思って鳴らして黙祷をしたのですが、振り返ると少し小高いところにあるベンチに男性が座っていました。
鐘の側の東屋で昼食休憩を取ります。
ここでは20分ほどの滞在。
昨日の記事で書いたように、今日は出発地点の亘理町で泊めていただく場所を確保しています。
なのでどこかの駅まで行って引き返すのですが、明日のことも考えて新地駅まで行ってしまいたいのです。理由は明日その方が楽だから。
新山を下ってから新地駅まで14kmもあるので、少し焦り出しています。
とりあえず下山します。
登るのは感覚的にも時間がかかりましたが、下るのは割と早かったような気がします。
最短ルートで歩くのも味気ないので、トレイルマップを見て立ち寄りたいところは経由して歩くことにしました。
震災当時のまま残っている旧中浜小学校を目指して歩きます。
途中コンビニに立ち寄って休憩を取っていると、「すいません。みちのくトレイルを歩いている方ですか?」とトラックに乗った方に声をかけられました。
何かと思って話を伺うと、なんと今日泊まる場所を提供してくださる方でした。
お借りするのは会社の土地らしく、以前からボランティアに来た方が利用したりしていたそうです。
今日はこれ以降用事があるとのことでしたが、ふと立ち寄ったコンビニでお会いするなんて偶然もあるのですね…
コンビニを出て、国道から海の方を目指して歩いていきます。
仙台を越えたので、東京までの距離の表記に変わっていました。
ここから300km超。
反射的に歩けるな…と思った自分が恐ろしい。
小学校跡地に着いたのは16時ごろでした。
この時点で日没寸前です。
立ち入り禁止になっていて中に入ることはできませんが、校舎の周りを一周してみました。
津波の威力を感じます。
後は新地駅まで一直線です。
ライトをつけて道を照らしながら歩いていきます。
時間が時間なので、工事車両が通ることもほとんどなくなっていました。
不幸中の幸いです。
気がつくと、道を挟んで周りは田んぼに。
新地町に入ると同時に宮城県を抜けて福島県に入るのですが、ふと道路工事の看板にライトを向けると、すでに新地町に入っていました。
気付いたら福島県にいた。という感じで、あまり感動を味わえませんでした。
ここから福島県みたいなのを見たかったのですが。
小学校跡地から1時間ほどで新地駅に着きました。
電車の本数が少ないためここから更に40〜50分ほど待ちぼうけです。
亘理駅に戻ったのは19時前。
駅から今日場所をお借りするところまでは更に30分かかります。
岩手の真ん中あたりだったらこんな時間まで歩く気になっていないですが、街ってすごいです。
泊まる場所に到着しました。
大きなビニールハウス内にテントを貼ることになっているのですが、ハウス前には犬がいます。
昔犬を飼っていたこともあるのですが、東南アジアで野良犬に追いかけられ、トレイル中さんざん吠えられて来たせいなのか、近寄ろうと思えなくなっている自分がいました。
プレハブ小屋が開いていたので、そちらにお邪魔してとりあえず荷物を降ろしました。
いつもなら夕食にレトルトカレーか味噌汁ですが、昨日食べなかった分良いものをと思い、近くのコンビニに行ってお惣菜を買い込みました。
コンビニやスーパーが近くにあると、食事も楽です。
まともな夕食を食べて、今日は小屋でゆっくりです。
本日の歩行距離 : 24km
36日目 : そしてトレイルへ
2日間のロケを終え、今日からまたトレイルに復帰です。
歩くのは名取市ルートから。
これ以南は全て開通ルートになっています。
ネットカフェを7時ごろに出発し、名取市ルートの北端に最も近いであろう美田園駅から更に海側に歩いて、トレイルルートとの合流を目指します。
昨日Aさんから「亘理町あたりにテントを張らせてくれそうな方がいる。」との耳より情報を得ていたので、みちのくトレイルクラブのIさんという方に、連絡を取っていただけないかお願いしておきます。
1時間弱歩いて、名取トレイルセンター前へ。
もう少し北に歩くと「ゆりあげ港朝市・メイプル館」という施設にたどり着くのですが、コンビニで朝食を済ませてしまった上に、まだ昼食を取る時間ではないので、そこまで行くのは辞めにしました。
絶賛建設中のトレイルセンターです。
外観はほぼ出来上がっていますね。
ゴールした後トレイルクラブの方からお話を伺いましたが、いずれはここの庭をキャンプ場のように使って、ハイカーが集う場所にするそうです。
適当な公園や駅の待合室に眠ることだってできなくはない…というか眠ってましたが、安心してテントを張ったりできる場所があるのは重要なことです。
トレイルセンターを離れ、南下して行きます。
駅からここまでの道のりを辿るようなルートなので、気分が乗らないような気もしつつ。
ロケに参加して、温泉で足を休めることができたのが良かったようで、痛かったところは概ね良くなっています。
歩いていて調子が良いなーと思って、Googleマップで歩行距離を見ると、距離が伸びてなかったりするのです。
足に発破をかけて行きます。
仙台空港を遠目に臨む頃に、こんな感じのビニールハウス群の中を通ります。
iPhoneに保存しているPDFのトレイルマップによると、震災前は1000棟近くのハウスが立ち並び、宮城県内最大のチンゲンサイや小松菜の生産地だったようです。
どの程度元に戻ったのか分かりませんが、それでも結構な数です。
作業をしていたおじさんと少し会話をします。
「海沿いをずっと行けば(相馬まで)すぐだから。」とのことでしたが、トレイルはそんな楽ばかりさせてくれません。
明日明後日は山歩きがあります。
期待4割不安6割といったところでしょうか。
海沿いには、千年希望の丘と名付けられた全部で15基の東屋が建った丘が整備されています。
場所によってはトイレが近くにあるので、野宿できそうと思いながら歩いていましたが、災害時の避難場所として機能するように設計されているようです。
僕は第11号基で昼食休憩を取りました。
ただのベンチかと思いきや、中には避難梯子が。
東北を歩いて地震の痕跡をたどってくる中で、自分の中の防災意識が高くなったような気がしています。
今年発生した大阪北部地震の後、水を買い込んだりはしたのですが、もう少しちゃんと備えないとと思うようになりました。
11号基のそばには、津波に耐えた大銀杏がそびえ立っています。
凛とした感じです。
さて、この広場を出ようとしていたのが14時前。
名取市〜岩沼市ルートの南端にある逢隈駅にはたどり着きたいところ。
行けるようなら少し次の亘理町〜山元町ルートに入ったところにある亘理公園あたりでテントを張ろうかなと思っています。
そこまで行けると明日歩く山に近いので、少しは楽になるはずなのです。
朝確認していただいた件は快諾していただけたようですが、今日いきなり訪れるのは急すぎると思いまして、明日お願いすることにしています。
なので明日はどこかの駅まで歩いて、亘理駅までまた引き返します。
Google大先生によると、ここから亘理公園までは最短2時間半。
ギリギリ日が沈むかどうかというところですが、亘理公園を目指すことにしました。
公園を追い出されたときのことを考えて、逢隈駅にも立ち寄って一応下見をしておきます。
というわけで、広場を離れて阿武隈川沿いを歩いて行きます。
途中田んぼの脇を。
阿武隈橋を渡って、またしばらく川沿い。
そしてルートから離れて、最短ルートに沿って行きます。
途中住宅街の中を歩いたのですが、道行く小学生から「この人はこんな荷物を背負って何をしているんだろうか。」と言わんばかりの顔で見られました。
時々僕も分からなくなります。
逢隈駅に着いたのが16時前でした。
自販機でコーラを買って、待合室で休憩。
利用時間が書かれていたので、もしかしたら閉まるのかもしれません。
なんなら野宿するな的な張り紙があったような気がします。
結局亘理公園に着いたのは17時ごろでした。
暗くなってしまいましたが、ある程度街中なので歩けないことはないです。
駐車場の公衆トイレの横が芝生になっていたので、そこにテントを張ることにしました。
中で休んでいると、暗くなったにも関わらず、車の出入りがあるようでした。
肌寒かったので寝袋をかぶっていると寝てしまいました。
これまでどれだけ疲れていても夕食を食べていたのに、初めて食べずに過ごした夜です。
本日の歩行距離 : 26km
34・35日目 : ロケ日
ブログの更新が滞ってしまいましたが、11月28日に無事ゴールすることができました。
帰ってきて少し落ち着いたので、記憶を辿りながらゴールするところまでは、ちきんと更新したいと思っています。
1日1投稿。もう少しお付き合いいただけると幸いです。
それでは、以下本編です。
来年春に、みちのく潮風トレイルの本拠地「名取トレイルセンター」がオープンします。
前回の記事で「明日用がある」と書きましたが、今回そこで上映する映像に出演させていただくことになりまして、今日明日はそのロケにお邪魔するのです。
朝10時に岩手の内陸にある北上駅で、カメラマンの方と合流することになっています。
仙台からは約2時間半かかります。
節約旅なのでもちろん新幹線は使いません。
6時にネカフェを出て、仙台駅へ。
駅内のコンビニで朝食を仕入れて、ホームで食べておきます。
2度の乗り換えを経て、9時40分ごろに北上駅に到着しました。
電車の中では爆睡でした。
やっぱりネカフェ泊はあまり眠れないようです。
10時ごろにカメラマンの方と合流。
こちらの方は、Iさんです。
Iさんの運転する車で、山田町の荒神海岸に向かいます。
そこでみちのくトレイルクラブの方や、ほかの関係者の方とも合流するという感じ。
僕は超絶ペーパードライバーなうえに、気仙沼で眼鏡を失っているので運転はできません。
車か北上から東に走って、釜石あたりに出たのち、北上していきます。
ここ歩いたなーって道を行くわけです。
なんだかすでに懐かしい気持ちでいっぱいでした。
荒神海岸には約2時間で到着。
みちのくトレイルクラブの方(Aさん)、カメラマンの方(Mさん、本業は監督っぽい)、音響の方(Tさん)、今回の撮影の他のモデルの方々4人(外国の方もいらっしゃったので綴りが分からない…)の合計7人+僕たち2人の計9人で撮影していきます。
映像はプロモーションムービー的なものと、インタビュームービー的なものに分かれているようで、前者をAさん・Mさん・Tさんが、後者をIさんが作成するようです。
先にプロモーションムービーの撮影を軽くした後、先発組は他の撮影へ。
今度は三陸駅で合流します。
僕は荒神海岸をバックにインタビューしていただきました。
またIさんの運転で三陸駅目指して走ります。
三陸駅もお世話になったところです。
走っているとAさんから電話が入りました。
「良いタイミングでの合流が難しそうだから、先に碁石海岸を目指してほしい」とのことです。
碁石海岸もお世話になったところです。
飲みに連れて行ってくれた方が、周辺のトレイルコースの整備をしたり、イベントを企画したりしているそうで、その方のインタビューを撮るようです。
そういうわけで碁石海岸インフォメーションセンターへ。
「あんなしっかり別れの握手をしたのに、こんなに早く帰ってくるとは思ってなかった笑」とのことです。
僕も全くの予想外でした。
展望台でインタビューをしている間、僕はセンター内の展示を見たり、ほかのスタッフの方とお話をしたりしてました。
インタビューが終わった後は、もう1グループが来るまで談笑を。
16時過ぎとかに全員揃ったはずです。
車中泊する気満々で来てたのですが、旅館を手配してくださってるとのことでした。
インフォメーションセンターを後にして、一同旅館へ。
今日のお宿は大船渡温泉です。
到着は17時ごろ。
最初はIさんと同室だったのですが、部屋が狭いということになり、1人一部屋使えることになりました。
フロントとAさんがやり取りをしている間に、Iさんに荷物を背負ってみてもらいました。
「これ背負って歩いてきたの…若さだねぇ…」とのことです。
やっぱりこれ重いんですよ。
さて、夕食が19時なので時間があります。
洗濯物をコインランドリーに入れて、僕は温泉へ。
オーシャンビューらしいですが、暗くて何も見えません。朝風呂に期待です。
夕食もまた豪華でした。
アワビ食べたのいつぶりだろう。贅沢…
いつもは茶碗一杯で満足するのですが、張り切って4杯食べたら気持ち悪くなりました。
なんなら先に部屋に戻って、トイレで少し吐きました。アワビを吐いてしまった…
写真全然無いですね…
ロケなのであまりカメラを触らなかったのです。
こんな感じのロケ1日目でした。
さて2日目。
起きたらちょうど日の出前だったので、温泉へ向かいます。
軽く体を流して露天風呂へ。
湯船に浸かっているとちょうど朝日が昇ってきました。
写真も撮っておかねばということで、体を拭いて部屋にカメラを取りに行って戻ってみると、時すでに遅し。雲の中に隠れてしまっていました。
他の宿泊客の方が「綺麗だねー(あの子タイミング悪いわ)」と言って去って行く中、フロントで写真を撮ります。
何人か7時に出発して撮影に行っているのですが、僕は9時半〜10時ごろ集合と言われていたので、かなりゆっくりした朝です。
朝食はバイキング。
いつもならここでも張り切ってプレートに盛るのですが、昨晩の反省を生かして量は控えめに。
食べ終わったタイミングで、ロケに撮影している他の人たちを発見したので、同じテーブルに混ぜてもらいました。
Aさんからの連絡待ちとのことでしたが、とりあえず全員9時半にロビーに集合することになりました。
少しの仮眠と荷造りをして、ロビーへ。
10時ごろに先発組が帰ってきました。
全員揃って、陸前高田の伝承館へ向かいます。
そうです。
僕が泊めていただいた方が館長をされている建物です。
嬉しい再会が多いですね。
ここでは一緒にロケに参加しているドイツ人の男性とその娘さんのインタビュー映像と、僕と泊めていただいた館長さんが談笑している様子の撮影がありました。
Iさんはこの後福岡でお仕事があるそうで、ここで早めのお別れとなります。
日曜日しかやっていないそうで、食べれたのはラッキーです。
この後は女川町に行くことになりました。
ハイカーが駅から出てきて、街中の散策をするといったような設定で、僕1人の撮影になるみたいです。
Aさんが2〜3時間車をぶっ飛ばして女川駅前へ。
バックパックを背負って、3回ぐらい駅前の通りを行ったり来たりしました。
撮影はこれだけですが、僕がピンで写っている可能性がありますから、刮目に値します。
女川から少し車を走らせて石巻へ。
MさんとTさんは、明日他の撮影があるようです。
お2人が泊まるホテルの名前がコンビニホテルで、なんだその名前は、と少し盛り上がりました。
Aさんがぶっ続けで車を運転して、撮影モデル陣は仙台駅で降ろしていただきました。
お別れをした後、僕はまたレンズキャップを落としていたので、駅近くの家電量販店で買い物を。
駅周辺をぶらぶらしていると、新幹線待ちの一行と再会しました。
時間を持て余しているので、お見送りすることにしました。
みなさん2日間ありがとうございました。
そしてネカフェへ。
眠りは多少浅くなりますが、12時間で2000円程度。
ドリンク飲み放題、場所によったらアイス食べ放題です。
トレイル中の宿泊先として検討に値すると思います。
明日からまた歩き始めます。
ゴールが迫ってきてます。
33日目 : 街中ゾーンへ突入
Mさんに石巻駅まで送ってもらい、電車で松島に向かいます。
小雨が降ったり止んだりしてて、なんともはっきりしない天気です。
今のところレインジャケットは着なくても大丈夫そう。
国道45号がしばらく海沿いを通ってるので、今日は国道を歩きます。
松島を眺めながら歩けるので、なかなか贅沢なコースかもしれません。
ただ観光地なので車通りもそれなりにあります。
少し歩いたところに、「双観山展望台」という看板を見つけました。
せっかくなので足を伸ばしてみることにしました。
展望台からの景色はこんな感じです。
手前の木が邪魔をしていて、正直それほど綺麗だとは思えませんでした。
歩いていると少し雨が強くなってきました。
アプリで雨雲を確認すると、しばらく降るようだったので、途中の駅に駆け込んで、レインジャケットを着てとバックパックにカバーをかけておきます。
すると雨が弱まるんですよ。不思議です。
また降り出すかもしれないので、しばらく着たままで歩きます。
国道をずっと歩いて、松島町から塩釜市へ。
いやもう普通に都会ですよ。
僕のスーパー重装備は浮いてます。
これがないと旅ができませんから、ごちゃごちゃ言わずに歩きます。
なかなか格式ある神社のようです。
七五三のお参りに来た家族連れを中心に、賑わいを見せていました。
参道の階段で、小学生ぐらいの兄弟が、どっちが先に下れるか競争してます。
自分も神社の階段走って登った時期もあったなぁと思いつつも、今は長旅の疲れが足に溜まりに溜まり、いよいよ膝にも違和感を覚えるようになったので、そんなこととてもできません。
手すりを掴んで下ります。
塩釜市から多賀城市に入るわけですが、それほど遠くありません。
Googleマップの予想時間では1時間もかからなかったはずです。
途中東屋がある公園を見つけたので、そこで昼食を取ることにしました。
白米消費キャンペーンということで、お米を炊きます。
人通りも少なく、少し小高いところにあるので、道を走る車からジロジロ見られることもなく、ゆっくり過ごせました。
食べ終わってから気付いたんですが、すでにここは多賀城跡のようです。
関西人の僕としては、平城京跡と言うとイメージしやすいでしょうか。
広大な土地に、発掘された史跡が点在しています。
熱心な方が本を片手に散策したりしてました。
僕は歴史に造詣が深いわけではないので、歩きながら案内を読んでは「ほー」とか「へー」ってなるだけでした。
自然好きも歴史好きも食べ物好きも楽しめるのが、みちのく潮風トレイルの良いところです。
城跡を抜けたので、今日立ち寄りたい最後の場所である、モンベル仙台港店を目指します。
これもここからそんなに時間はかかりません。
モンベル社から装備を提供していただいて、旅をしています。
バックパックの背面長の調整がどうにもうまくいかず、担当の方に相談させていただいて、最寄りの店舗で見てもらうように手配していただいていたのです。
お手数おかけして申し訳ないです。
ちなみに八戸からトレイルをぶっ通しで歩くとなると、足で通えるのはここの店舗ぐらいになるかと思います。
そうなんですよ。気付いたら住所が仙台市なのです。びっくり。
今日は勤労感謝の日ということもあり、店舗の中も結構な混み具合。
レジも並んでました。
スタッフの方に声をかけ、用件を伝えると、店長さんが出てきてくれました。
あっという間に不具合は解消。やっぱり僕のやり方が悪かったようです。
改めてフィッティングも見てもらいまして、背負いやすくなった気がします。
用事はこれだけではありません。
朝晩かなり冷え込むので、手袋とネックウォーマーを買っておこうと思っていたのです。
店長さんとても親切。その上フランクな対応。
優柔不断にお付き合いいただきまして、ありがとうございました。
ちなみに登山をされる店長さんからしても、僕の荷物は重いらしいです。
「これ背負って歩いてきたんですか…」って言われました。
長旅の中で痛むところが増えてきていますが、僕の足が弱いのではなく、荷物が重すぎる説です。
まぁゴールは目前。頑張りましょう。
歩いて行ける距離にスーパー銭湯とネカフェがあります。
スーパー銭湯でしばらく時間を潰してから、ネカフェに入ろうか迷ったのですが、明日用がありまして、電車で大移動しないといけないのです。
どうせ仙台通るならそっちに行った方が良いのでは?と閃きまして、電車に乗って約1ヶ月ぶりの仙台駅へ。
久々の大都会と人に圧倒されながら、ネカフェに行きまして、とりあえずブログの更新を間に合わせました。
本日の歩行距離 : 約20km
32日目 : 歩行距離最長記録更新
起きたら完全に二日酔いでした。
ありがたいことにMさんが、「どうせ俺しかいないんだし、今晩も泊まっても大丈夫だよ。」と言ってくださったので、もう一晩だけお世話になることにします。
バックパックを置かせてもらって、ウエストポーチとカメラだけで歩きに行きます。
牡鹿半島以降は名取市まで未開通なので、なるべく海沿いを歩きながら、名所があったら立ち寄るような形を考えています。
一昨日石巻駅付近まで歩いていたので、Mさんにそのあたりまで送っていただいて、スタートです。
今日の朝は少しゆっくりめの10時スタート。
なんせ二日酔いだったので…
しばらく国道沿いを歩きます。
気仙沼市街以南はほとんど街中を歩くことになるので、補給に困ることはありません。
道行く運転手からジロジロ見られるぐらいです。
国道をずっと歩くと、北上運河に合流するので、今度は川に沿って歩いていきます。
多分これが一番海に近いはず。
河川敷も工事してる箇所が結構多くて、困りました。
抜けた先が工事現場で、作業員の方に誘導されるなんてことも。
ただ河川敷の工事エリアを抜けると、工事が終わって綺麗に舗装されたとこを歩けるので楽でした。しかも一直線。
対岸は手すりも整備されてました。
川の右手は航空自衛隊松島基地になっているので、時折ジェット機が飛んでいきます。
男心をくすぐられます。
何回見ても「おー、すげぇ」と思いました。
川を抜けると、奥松島という地域に入ります。
岬の方に行けば綺麗な景色を拝めるようですが、荷物が軽いうちに距離を稼いでおきたいと思いまして、このまま先に進みます。
ただ、45号を歩くのはつまらないので、海沿いを走る「奥松島パークライン」を歩きます。
少し歩いてようやくコンビニを発見。
とても綺麗な建物で驚きましたが、震災後できた、「東松島市震災復興伝承館」という建物内に入っているようです。
ずっと河川敷で補給スポットがなかったので助かりました。
パンを買ってお昼休憩です。
そのまま先を急ぐのはもったいない気がしたので、中の展示を見学することにします。
気仙沼で見たような震災の映像も上映されていました。
こういう映像をテレビとかで流すのはできないんだろうと思いますが、なんかもう少し広まって良い気がします。
震災の風化だなんだと言われていますが、日本に住んでる以上、生きてるうちに大きな地震に遭う可能性もあるわけです。
終わったことにしちゃいけないと思うのです。
そして、とある詩が載ったポスターの前で立ちすくんでしまいました。
「潮の匂いは。」という詩です。
数年前石巻の高校生が書いたもので、ネットでも記事になっていたりしたので、有名な詩のようです。
画像があったので貼っておきます。
これは一読してほしいですが、元画像が荒いので読めるかは分かりません。
ググったらすぐ出てくるので、よかったら是非。
またパークライン沿いを歩いていきます。
ブルーインパルスが編隊飛行を見て、またテンションが上がる少年がここにいました。
松島方面へ歩いて行くわけですが、曇り空から差し込む日の光が島を照らしていて、これがまたとても美しかったです。
今日はずっと曇りだったのですが、こういうシーンに遭遇すると嬉しくなります。
なんとか暗くなる前に松島あたりまで歩けました。
明日頑張って歩かなくても良さそうです。
やっぱり荷物が軽いと休憩時間が減るので、その分距離が伸びます。
電車に乗ってまた石巻へ戻ります。
石ノ森章太郎さん推しです。
Mさんと夕食を食べて、2人とも疲れがたまっているので、昨日より早く寝ました。
本日の歩行距離 : 28km
31日目 : 飲み過ぎ注意
今日一緒に浜の仕事のお手伝いに行く方が、8時半ごろに迎えにきてくれました。
車で昨日までいた牡鹿半島に向かいます。
9時ごろに仕事場に到着。
文明の利器は偉大です。
歩いたら1日かかります。
ワカメやホヤの種付けなどなど、浜の仕事をしてるMさんにお世話になります。
汚れても大丈夫なように、作業着をお借りして、ひたすら紐に牡蠣の殻を通していきます。これを海中に吊るすことで、ホヤの幼生が付着するそうです。
しばらく一緒に来た2人とと紐に通す作業をしていましたが、途中からドリルで殻に穴を開ける係に転向しました。
9時から12時まで黙々と作業します。
全く苦にならないので、こういう作業は向いてる気がします。
そういえば三陸駅で柿のヘタをむしってた時も、何度も「飽きたらやめたらいいからね。」と声をかけてくれましたが、黙々とむしってました。
12時から1時間お昼休憩。
来るときにコンビニで買っておいたおにぎりと、Mさんが持ってきてくれた焼き牡蠣です。
当然僕が何をしてるのかの話になりまして、今日どこに泊まるつもりなのか聞かれたので、「ネカフェに泊まるつもりです。」と答えると、
Mさんが「そんなのにお金使わなくて良いよ。うち泊まれば良い。」と言ってくださりました。
恒例になってきましたが、お言葉に甘えさせていただきます。
13時からまた作業。
もうこんな量の牡蠣の殻を触ることはないでしょう。
暗くなる前に終わるとのことで、15時に作業は終了です。
連れてきてくれた2人と別れて、僕はMさんの車に乗り込みます。昨日泊まったゲストハウスの近くにMさんのお宅がありました。
家の中には猫が1匹。
夏頃に道路をうろうろしてた子猫を拾ったそうです。
遊びたい盛りで、初めて会った僕にもじゃれてきました。
しばらく遊ぶと膝の上に頭を置いて眠りだしたのですが、こんなにくっ付いてるのは僕が初めてらしいです。
人柄の良さが猫にも伝わるとは大したもんですよね(冗談です)
夕食は石巻市街で。
スナックやらキャバクラやらが集まるあたりに入って行ったので、どこに連れて行かれるのかと思ってたのですが、1軒目は小料理屋でした。高そう…
刺身の盛り合わせにしても、しっかり旨味のあるお魚で美味しかったです。
コワタと呼ばれるマンボウの腸の部分や、鰹のハラス。
やっぱり三陸は海の幸が美味しいです。
2軒目、3軒目はスナックでした。
もちろん人生初。
地酒やワイン、久々にこんなにお酒を飲みました。酒癖の悪さを発揮しないか心配でしたが、そこまで酔いつぶれることもなく。
飲み終わったのは12時過ぎだったと記憶してます。
運転代行が運転するMさんの車で帰宅。
「俺は寝るから、お風呂入っといて」ということで、僕はお風呂に入ったのですが、
気が付いたら多分寝てました。
お風呂だけ記憶が曖昧です。
たまにはこんな日も良いと思うんですよね。
ちょうど1ヶ月だし。