6月18日 外へ出よう。心を開こう。
まだ日も昇りきらない早朝、バスはハイデラバードについた。
バスを降りるといつものようにリキシャドライバーの群れに放り込まれる。
眠たいので話す気力も出ず、ほぼ無視して道路の隅っこで荷物を整理。
ホテルまで20〜30分ほど歩いて行く。
早朝だったが難なくチェックインさせてもらえた。
Wi-Fiがすこぶる早い。
友人は「下宿先より早い!」と言っていた。確かにこれはインドのレベルを超えている。
昨日のブログを更新して、シャワーを浴びる。
バス移動の疲れを取るために仮眠する。
起きたら昼過ぎだったので昼食を探しに外へ。
ある程度目星を付けていたのだが、見つからなかったらその時はその時だといつものようにふらふら歩く。
友人は「これ以上歩くようなら」と、しびれを切らしたようで先に帰ってしまった。
結局目星をつけていたところは見つからなかったので、適当に賑わっていたローカルレストランに入る。
注文方法がわからず手間取っていると、スタッフの1人が教えてくれた。
ここハイデラバードはビリヤニという料理が有名らしいので、メニューに合ったベジビニヤリを頼む。
とても簡潔に言うならスパイシーなライスだ。
このスタッフが親切で水を出してくれたり、いろいろ手助けしてくれた。
「忙しくなってきたから行くね」と最後に握手を求めてくれた。
彼は右手を差し出している。
僕の右手はライスでベトベトだ。
彼は「No problem!!」と左手をガシっと掴んで去って行った。
今思えば不浄の左手だ。そういう意味での「No problem」だったのだろう。
ここの写真を撮るのを忘れていた…
食事の後はまたこの辺りをふらふら。
この辺りは車のパーツだろうか。ベアリングみたいなものを置いているところが多い。
幾何学的で格好良いなぁと遠くから撮っていると、「近くで撮れよ」と言ってくれた。
奥からここの主人らしきおじさんが出てきて、写真を求められたので一枚パシャリ。
インド人は外国人が珍しいのか、横を通り過ぎようとするとすごくジロジロ見つめてくる。
ほりが深い上に肌がよく焼けているので、睨みつけられているように感じるのだが、こちらを見てくるということはきっと興味があるということだろう。
そう思って見つめてきた相手には、なるべく挨拶するように心がけてみた。
すると彼らもニコっと笑って手を振ってくれたりする。
観光地に行くよりこうやってる方が楽しいじゃないか…
インドの道路事情は劣悪だ。
ベトナムも大概だったが、彼らは渡ると避けてくれた。
インドは車・バイク・リキシャ問わず、気にせず突っ込んでくる。
道路を横切るタイミングを図っていると、突然おばさんに話しかけられた。
ジェスチャーで向こう側に渡りたいことを伝える。
すると彼女は僕と自分を指差して僕の腕を掴んだ。
渡るタイミングを教えてくれるみたいだ。ありがたい。
道路を渡り終えて「ありがとう。写真を撮ってもいいですか?」と尋ねると、撮っても良い素振りを見せてくれたので、一枚取らせてもらった。
驚いたのはこの後だ。握手をしたあと、僕の右手の甲にキスをしたではないか。
どういう意図のもとか分からないが、手の甲へのキスは尊敬を表すそうな。
なんだかんだ遅くなってきていたので、ホテルへの道を引き返す。
この辺りはシーシャ(水タバコ)の店が多い。
フレーバーが入っている瓶が宝石のようにキラキラしていた。
横を通り過ぎようとすると、また見つめられていたので挨拶する。
今度はもう一歩踏み込んでみた。「何してるんですか?」
「チャイ」とのことだ。店主を指差している。飲むか聞いているのだろう。
たかだか10ルピー程度の話だし飲むことにした。
彼が頼んでくれた。
お金を払おうとすると「free!! free!!」と。まさかのおごり。
ありがたく一杯頂戴した。それにビスケットも一枚。
この人が店主。
いい笑顔だ。
宿に帰ってだらだらしていると、夕食時になったのでレストランを探しに行く。
一応食あたりと変な病気を貰わないためにも屋台では食べないようにしている。
やっと見つけたレストランで頼んだのがこちら。
オニオンドーサ。
パリッと焼いたクレープ状の生地の中に玉ねぎが入っている。
そういえば肉をあまり食べていない。
インドは人口の40%がベジタリアン(Wikipedia調べ)だそうで、ベジタリアン専用のレストランがあったりする。
あまり肉を見かけない原因はそんなところにもあるのだろう。
明日は肉を食べたい…
インド人に騙された、騙されかけたなんて話は数あれど、手の甲にキスされて、チャイとビスケットをご馳走してもらうなんてめったにある話じゃなかろう。
北インドに行けば騙されることもあるのかもしれないが、それも旅。
甘んじて受け入れようじゃないか。
外へ出よう。心を開こう。きっと何かあるはずだ。
インドが楽しくなってきた今日この頃。