38日目 : 道を訪ねて、その先へ。
駅までは歩いて30分。
7時過ぎの電車に乗りたかったので、5時過ぎにアラームをかけていたのですが、二度寝をして起きたのは6時前でした。
一本遅い電車に乗ることにします。
朝食は昨日コンビニで買っておいたサバの味噌煮。
湯煎するのが面倒だったので、炊いたお米にそのまま混ぜ込みました。
なかなかいけます。
撤収しようとしていると、お借りしている土地を所有している会社の従業員の方がやってこられました。
勝手にプレハブ小屋を借りたお詫びとお礼を。
「うちは好きに使ってもらったらいいんで。そんなことより出迎えもできず申し訳ない。」と逆に謝られてしまいました。
その上今日の仕事現場が新地町らしく、一緒に乗せて行ってくださることになりました。
重ね重ねありがとうございます。
道中お話ししていると、言葉のイントネーションに通ずるものを感じました。
出身を伺うと、三重県とのこと。
関西弁に親近感を覚えました。
新地駅までは車で30分ほどです。
駅前で降ろしていただき、最終日がスタートです。
一応今日でゴールしてしまう予定をしています。
駅近くのコンビニでいつもの如く昼食のパンを買っておきます。
岩手あたりでどこで補給するか悩んでいたのが懐かしいです。
しばらく歩いて、山の方へ。
奥に見えるのがこれから登る鹿狼山です。
その前に右近清水に立ち寄ります。
平成の名水百選にも選ばれた湧き水が湧いています。
飲んでみましたが、口当たりが柔らかいような…僕にはよく分かりません。
足を乾かして、鹿狼山の登山口を目指します。
ロケ日を挟んで、足もかなり良くなったと思っていたのですが、荷物を背負って歩いていると、豆と水ぶくれは増え続けます。まぁこの程度はもうなんてことありません。
人に晒せないぐらい足は汚いですが。
10時前に登山口に到着。
カロリーメイトでカロリー補給をして、いざ鹿狼山へ。
途中展望所のようなところで休憩を取ります。
登りが続いた後に開けた景色が待っていると、疲れも吹っ飛ぶぐらい気持ち良いです。
山頂のような写真ですが、まだ登り切ってはいません。
とどめの一撃のような登りが待っています。
ロープが張られているのは、あまりに急だからでしょうか。
登山口から1時間ほどで山頂到着です。
写真撮影をしていると、山頂の広場に大量の園児たちが登ってきました。
やかましい…とか思ってはいませんよ。
この辺りで昼食休憩をと思っていましたが、こんな中でゆっくりできそうにないので、下ってしまうことにしました。
誰に合わせて作ったんだよこれ…と思いながら、石の階段を下ります。
膝にくるやつです。
麓の駐車場まで30〜40分で着きました。
下山してくる人がちらほらいるぐらいで、頂上とは違って静かです。
30分ほど昼食休憩を取って、相馬市へ向かって歩いていきます。
のどかです。
下山してから2時間ほどで、相馬市の観光案内所である千客万来館に着きました。
これと言って聞くことも思いつかなかったので、中を少し見て立ち去りました。
あとはゴールへ向かうだけです。
途中に相馬駅近くを通ります。
往復しないといけないと思うとうんざりしないこともないですが…
1時間弱でゴール地の松川浦環境公園に着きました。
1人でしみじみと「やっと着いた…」となることを期待していたのですが、大学生ぐらいの人たちが公園でサッカーをしていて、そんな気分に浸る雰囲気ではありませんでした。
とりあえずバックパックを立て掛けてゴールの記念撮影です。
少しするとみんな帰って行ったので、ドローンを飛ばして自撮りです。
1人になると、少しずつ実感が湧いてきました。
もう歩かなくて良いと思うとホッとする一方、なんだか少し寂しくもあります。
と、思っていると「ドローン飛ばしているの?」と散歩に来た地元のおばさんに話しかけられました。
誰も僕を浸らせてはくれないようです。
初めてドローンを見たとのことだったので、飛ばしてみると感心されました。
お話をしていると、次ここから相馬駅に向かうバスが来るのは18時前だと教えてくれました。
今は16時半ごろです。
そんなに待っていられないので、また小一時間かけて歩いて戻ることにしました。
残っていた携行食を全部食べて、トイレに水を捨てて、荷物が少し軽くなりました。
知り合いとお話をしていたおばさんにお礼を言って、相馬駅に向かいます。
終わったのに歩いているので、終わった気がしません。
電車に揺られて仙台駅へ。
明日の夜の飛行機のチケットを取っているので、今日は仙台市内のカプセルホテルで一泊です。
Googleマップの案内に従って歩いて行くと、キャッチのお兄さんがいる界隈に突入していました。都会は賑やかです。
大阪に帰ってやっていける自信がなくなりました。
さて、チェックインです。
明日に向けて身支度を整えなければということで、2〜3日ぶりのシャワーを浴びて、近くのコインランドリーで洗濯を。
夕食は牛丼チェーン店。
仙台に来たからと言って牛タンを食べるなんて浮かれたことはしません。
最後まで節約旅を貫きますよ。と言いつつ瓶ビールを一緒に注文。
祝杯です。浮かれています。
そういえば牛丼は昔から、つゆだくに生卵をプラスする派です。
高校の部活の先輩に「牛丼を飲むように食べる」と言われたことがありますが、言い得て妙。
仙台の街なかを歩いて、カプセルホテルに帰ります。
38日間の非現実から戻るためのリハビリをしているような気分でした。
こんな感じで僕のトレイルは幕を閉じました。
本日の歩行距離 : 21km
最後に38日間を振り返った感想を書いておこうと思います。
大学に入ってからコンビニでずっとアルバイトをしているのですが、コンビニっていろんな方がいらっしゃるわけです。
中には横柄な方もいらっしゃったり、半端じゃない理不尽に遭遇することもあるわけで、バイト中はいつも目が死んでるなーと自分でも思っていました。
割とバイトに励んだ学生生活。
好きでもないことに時間をかけてるわけですから、目も死んでいくというものです。
仲の良い後輩から「大学入って目が死にましたよね」と言われたりもしました。
そのうえ最近は、前はイライラしなかったようなことでイライラしたりすることも増えてきまして、心の荒みっぷりを自覚していました。
ブログを読んでくださった方はご承知かと思いますが、歩く中でいろんな親切に出会いました。
なんでしょうね。
心の乾いたところに水をかけていただいたような、そんな出会いがいっぱいあったトレイルでした。
僕の祖父母の家が和歌山県にありまして、歩いていける距離に熊野古道と熊野三山の一つ「熊野本宮大社」があります。山の中です。
これも歩くこととのご縁な気がしますが、それはさておき。
僕は大阪育ちで、年に1〜2回、こうしたいわゆる田舎に行ったりしていました。
泳げなかったので海は嫌いでしたが、山でカブトムシを探したりするのは好きだった記憶があります。
釣りもまたしたいなぁと思っているので、捕ることが好きなようです。
中学だったか高校だったか忘れましたが、
ある時ふと「都会って何でもあるけど何かない。田舎って何にもないけど何かある。」と思ったことがあります。
カラオケやボーリング、パチンコ、ゲーム等々の都会的な遊びではなく、自然に触れることで心がイキイキする感覚。
それに加えて、先に書いたような今回のトレイルで感じた、人とのふれあいの中でしか感じることができない暖かさ。
物質的な豊かさや暮らしの便利さを求める中で、忘れてしまっているものがそこにはまだ確実に残っている気がしています。
「まだ東京で消耗してるの?」
ある著名なブロガーの方がおっしゃってた言葉だった気がします。
春からの社会人生活、満員電車に揺られる暮らしの中で、また心がすり減った気がしたら、三陸鉄道に乗ってトレイルコースを目指してみようと思います。
ウェブ関係の仕事をしますので、勉強のためにブログをいじいじしたりするかもしれません。
旅の記事ではないかもしれませんが、その時はまたお目にかかりましょう。